手打ちそばさぶん｜そばあい～新庄・もがみそば街道協議会公式ホームページ～

「石臼への思いからみえる物語」

築150年の古民家がお店。初代当主が戸澤神社を作った大工の棟梁の家を買い取った。

この場所を利用し何かを始めようと思った時、知人に勧められたのが｢そば屋｣だった。

元々、そばをそんなに食べた事が無かった店主。そば屋の修行に出たが続かなかった。

次の店では「給料はいらないから、そばが打てるように仕込んで欲しい」とひたすらそば打ちを学んだ。

ただそばを打てるようにならなければと火が付いた。その瞬間から、店主のそばへのこだわりが始まる。

まずは製粉から。石臼引きの細かい粉と、粗めの粉を独自の調合で混ぜる合わせる。このバランスが香りの仕掛け。

独自の調合はそばの香りをより強くする。「この香りを楽しんでもらいたい」

「水回しから切るまで全ての工程を20分でこなす」そう言い切ると、凄まじい集中力でそばに向かう。

「菊もみ」この段階でそばの味が決まる。

そして、そばの風味が変わらぬよう優しく。力むと熱が入りせっかくの香りが飛んでしまうから。

最後まで優しく扱うことを、常に心がけている。

出来た麺は、キリッとした面構え。

鴨肉は肉厚なロース肉を使用。淡泊ながらしっかりとしたコクを出す。

香り立つそばをかも汁にまとわせたら、なおいっそう華やぐ。

自家製の鴨肉団子は口の中でホクッとほぐれ、柔らかな舌触りから幸せを感じる。

15年経って思う。店主の今一番の「こだわり」とは。「お客さんに美味しいものを食べてもらいたい。」ただそれだけ。