生そばさらしな｜そばあい～新庄・もがみそば街道協議会公式ホームページ～

「栃の木のテーブルから見える物語」

昭和56年10月。現在の地に店を構える。

居抜き物件だったため器もそのまま。店名と電話番号が書いてあったから、それごと引き継いだ。

一本の丸太を割って作られた。店の入り口にある栃の木のテーブルも、それからずっと使い続けている。年々中心が盛り上がってくるため、大工さんに頼んでカンナで削る。開店当時よりも6～7cmほど低くなった。

前店主が久しぶりに来店した際、このテーブルが未だに使われている事に感激し、涙を流しながらそばを食べたのだそうだ。

東京高等栄養学校（現・服部栄養専門学校）第一期生であるご主人。

在学中はオムレツ・だし巻き卵部門で1位になったこともある。卵の魔術師。

常連さんが初めてかつ丼を食べた時、その巧さに大感動。それ以来、全メニューを制覇した。という逸話があるほど。

一品ごとに込められた匠な上手さは、ハマる旨さで心をぐっと惹きつける。これこそが「さらしなならでは」のこと。

さらに以前よりもメニューは増えた。今、店主と共に厨房に立つ息子さんが来てからだ。

そばに限らず、ラーメン、うどんも自家製手打ち。それぞれに使うつゆも仕込む。当然、時間はかかるが、それでもこのラインナップにこだわりたい。

コシのある中華麺は食べごたえあり。透き通ったスープがさっぱりしていて、あっという間に感触の時を迎える。

今は息子さんが支えてくれる。料理人になると決めたのは大学に進学すると確認した三者面談から3日後だった。その時の強い眼差しに意志を尊重した店主。

今は後継ぎが出来たと喜んでくれるお客さんもいる。けれど「一人の料理人として」本腰を入れて取り組んでくれることが何よりだと店主は思う。

また栃の木のテーブルが何センチか低くなる。その削られた分だけ、さらしなの歴史が重なっていくのだろう。